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親の死後に親子関係は変更できる?

2025.12.10| ALL

相談者

認知や養子縁組といった親子関係は、相続の場面でも重要になりますよね。これらの関係は、親や養親が亡くなった後でも変更できるのでしょうか?


専門家

亡くなった後でも変更する方法があります。「死後認知」「死後離縁」という手続きを踏めば、親子関係を後から変えることが可能です。
死後認知は、親が生前に認知できなかった子を、親の死後に法律上の子と認める制度です。
一方、死後離縁は、養親(または養子)の死後に縁組を解消し、養親子関係を終了できる制度です。たとえば、婚姻外で生まれた子(非嫡出子)について、父親が生前に認知しないまま亡くなったようなケースで死後認知が利用されています。

ちなみに母子関係は出産によって当然に法律上成立するので認知手続は不要ですが、父と非嫡出子の場合は認知によって初めて法律上の親子関係が生じます。認知されないままだと非嫡出子には相続権がありませんが、死後認知が認められれば法律上の子として扱われ、相続人になれるのです。


相談者

亡くなった後でも手続きできるのですね。まずは「死後認知」について詳しく教えてください。手続きをできる人や期間に制限はありますか?


専門家

死後認知を利用できるのは、基本的にその子(認知される側)本人です。ただし子が既に亡くなっている場合はその直系卑属(子の子供)が代わりに提起できますし、子が未成年などなら法定代理人が手続きできます。死後認知の請求方法は家庭裁判所に「認知の訴え」を起こすことになります。父親が既に亡くなっているため、訴訟では父親に代わって検察官が形式的な被告となります(実際には亡くなった父の配偶者や嫡出子などの遺族が関与して争われるのが一般的です)
重要なのは期限で、民法で「父の死亡後3年以内」に訴えを起こす必要があると明確に定められています。この3年間という期間は非常に厳格で、途中で中断・延長することは一切できません。法律上、これは「除斥期間」といって、経過すると権利自体が消滅してしまう期間なんです。その背景には、相続関係を早期に安定させる必要性があるという法の考え方があります。

例えば、お子さんが父親の死亡事実を知らなかった場合でも、父が亡くなった日から3年が過ぎてしまえばもう認知の訴えはできません。これは最高裁判例でも「父の死亡が客観的に明らかであれば、子が死亡を知らなかったとしても期限を延ばせない」と示されており、たとえ父の死後に自分が子であると知らされたケースでも同様です。
ですから死後認知は時間との戦いで、「いつかやろう」と先延ばしにすると権利を失ってしまう点に注意が必要です。期限を過ぎてしまうといかなる理由があっても救済されないので、この3年間は絶対に逃してはいけません。


相談者

相続の問題もあるので、手続きを進めるなら早めの方がよさそうですね。仮に他の相続人たちが先に遺産分割協議を終えてしまっていたら、死後認知では遺産はどうなるのでしょうか?


専門家

死後認知が認められると、その子は法律上最初から相続人だったことになります。もっとも、認知の効力には限界があり、他の人が既に取得した権利を害することはできないとも定められています。そのため遺産の扱いは、遺産分割が済んでいるか否かで対応が異なります。

  • 遺産分割前の場合
    まだ遺産分割協議が終わっていない段階で認知が確定した場合、認知された子は他の法定相続人と同じように遺産分割協議に参加する権利を持ちます。当然、その子を除外したまま協議を終わらせることはできません。もし認知の訴えが係属中に遺産分割が行われた場合でも、原則としてその分割は有効となります(民法910条)。そのため、認知された子は遺産分割のやり直しを求めることはできず、代わりに『金銭による支払い』を請求することになります。
  • 遺産分割後の場合
    すでに適法に遺産分割が完了した後で認知が確定した場合は、法律関係の安定のため原則として分割のやり直しは認められません(民法910条)。その代わりに、認知された子には他の相続人に対してお金による支払い(価額弁償)の請求権が与えられます。
    簡単に言えば、「本来もらえたはずの相続分に相当する金額」を他の相続人から受け取る権利です。民法910条に基づき、遺産を受け取った各相続人に対して按分計算された金額を請求できることになります。
    この金銭請求権の具体的な計算方法については昔は議論がありましたが、2019年の最高裁判決で基準が明確化され、現在は積極財産(プラスの財産)の価額を基に算定するという扱いに統一されています。(※負債は控除しない計算方式ですが、その分、認知された子も法定相続分に応じて債務を引き受ける立場は変わらない点に注意が必要です。)
    いずれにせよ、遺産分割後でも認知された子が何ももらえないわけではなく、法律に則った方法で自分の相続相当分の金銭を受け取れる仕組みになっています。
    なお、他の相続人が認知された子の存在に全く気付かず善意で分割を終えていた場合でも、この価額弁償請求によって解決することになり、基本的に遺産そのものの分け直しは行われません。これは、取引の安全や法的安定性を守るための措置です。

相談者

なるほど。相続税の申告も終わっていた場合、新しく相続人が増えると税金はどうなるんでしょう?払った税金は返ってくるんですか?


専門家

そこも重要なポイントです。認知によって相続人の数が増えると、相続税の計算自体が最初から覆ります(法定相続人の数が増えると基礎控除額が上がったり、各人の取得額が減って税率区分が下がったりするためです)。そのため、既に相続税を申告・納付していた他の相続人は、払いすぎた税金の還付を求めて更正の請求を行うことができます。
通常、税金の更正の請求は法定申告期限から5年以内であれば可能ですが、死後認知のように後から相続人が増える特殊な場合には相続税法第32条という特別ルールが適用されます。
このルールでは、認知の判決確定を知った日の翌日から4ヶ月以内に更正の請求をしなければならない、と非常に短い期限が定められています。たった4ヶ月ですから、うっかり「まだ時間があるだろう」と思って期限を過ぎてしまうと、その超過分の税金の還付を受ける権利は消滅してしまいます。実際に期限を逃せば払い過ぎた相続税は戻ってきません(権利失効となります)。

この点は見落とされがちですが、通常より期限が格段に短い「手続き上の落とし穴」なので注意が必要です。認知が確定したら速やかに税務署や税理士に相談し、判決確定日から4ヶ月以内に更正の請求手続きを取るようにしましょう。専門家である弁護士と税理士の綿密な連携が不可欠なポイントです。


相談者

次に「死後離縁」についても教えてください。これはどのような制度なのでしょうか?


専門家

死後離縁は、養子縁組をしていた場合に当事者の一方が亡くなった後で、その生存しているもう一方が養子縁組関係を解消するための制度です。通常の離縁(協議離縁や裁判離縁)は当事者双方が生きていることが前提ですが、死後離縁では片方が死亡しているため家庭裁判所の許可が必要になります。具体的には、養親が亡くなった後に養子が離縁を申し立てるケースや、逆に養子が亡くなった後に養親が申し立てるケースがあります。
いずれにしても家庭裁判所で許可審判を得てから、市区町村役場に離縁届を提出する形になります。

死後離縁は、近年では「墓じまい」(お墓の管理を終わりにする)や親族付き合いの断絶を望む背景などから利用が増えていると言われます。例えば、「生前から養親とうまく折り合いがつかなかった」「縁組はしたけれど他人同然で疎遠だった」といった理由で、亡くなった後にもう関係を絶ちたいと望む場合に、この制度が救済となることがあります。

現代の個人主義的な傾向を反映して、そうした個人的な意思を尊重する目的で許可されるケースも多いようです。ただし、死後離縁は当事者の希望で自由にできるとはいえ無条件ではありません。家庭裁判所は離縁の申立てについて、その動機が「養子縁組の本来の趣旨に反する不純な動機」でないかを慎重に審査します。要は、「権利の濫用」にあたるようなケースは許されないということです。


相談者

でも、死後離縁してしまったら、相続もできなくなりませんか?自分が相続人だったことまで取り消されるような気がするのですが…。


専門家

その点はご安心ください。一般に誤解されがちですが、死後離縁をしても既に終わった相続には一切影響がありません。つまり、養親の死亡により発生していた相続権が離縁によって消えることはなく、もらった遺産を返さなければならないようなこともないのです。
実際、民法にも「離縁の効力は将来に向かってのみ生ずる(=過去には遡らない)」と規定されています(※離縁の不遡及。民法729条および787条ただし書)。ですから、死後離縁によって親族関係は解消されますが、それより前に確定していた法律関係──たとえば既に取得した相続財産など──が覆ることはありません。

離縁したからといって相続した遺産を返す必要はないわけです。 ただし注意すべきなのは、その離縁の動機があまりに利己的すぎる場合です。養親の遺産だけはしっかり相続しておきながら、扶養義務やお墓の管理などの負担から逃れたいという目的だと明らかに不誠実ですよね。
このような「良いとこ取り」的なケースは養子縁組制度の趣旨に反する不純な動機とみなされ、家庭裁判所も許可しない傾向にあります。

実際に「養親の財産は多額に相続したのに、法要や墓守り・養親の配偶者の扶養だけ免れようとする」という典型例では、権利の濫用として却下されたケースがあります。制度の目的から考えても、死後離縁はあくまで亡くなった後の親族関係を整理するための制度です。

経済的な得だけ取って義務だけ放棄するような使い方は許されない、ということですね。逆に言えば、そうした不純な目的でない限り、死後離縁は認められやすいとも言えます。
「単に性格が合わなかった」「親戚付き合いを終わらせたい」といった理由であれば許可されるケースも多いのです。いずれにしろ、感情的な面だけでなく経済的・法的な影響も考え合わせて、慎重に判断する必要があります。申立ての際には動機の伝え方にも注意しましょう。


相談者

養親が亡くなった後に養子が離縁したら、養子の苗字(姓)はどうなるのですか?元の姓に戻ってしまうのでしょうか?


専門家

養子縁組を解消すると、基本的には養子は縁組前の名字(旧姓)に戻ることになります(これを「復氏」と言います)。しかし、長年にわたって養親の姓を名乗ってきた人にとって、急に旧姓に戻るのは社会生活上大きな支障となり得ます。そこで法律は救済策を用意しています。

養子縁組から7年以上経過して離縁した場合は、離縁後3ヶ月以内に市区町村役場へ「離縁の際に称していた氏を称する届」を出すことで、離縁後も現在の姓(養親の姓)を引き続き名乗ることができます。この手続きは家庭裁判所の許可がいらない届出事項です。

一方、養子縁組から7年未満で離縁する場合はこの届出による救済が使えません。
その場合でも、例えば「職場や地域で長年今の姓で通っており、急に旧姓に変えると生活に著しい支障が出る」ようなケースでは、家庭裁判所に申し立てて例外的に現在の姓を名乗り続ける許可が下りることもあります。
要は期間が短く届出ができない場合でも、やむを得ない事情が認められれば裁判所の判断で名前を維持できる可能性があるということです。


相談者

いろいろお話を伺って、死後認知と死後離縁にはそれぞれメリット・デメリットがあることが分かりました。手続きを進める際には注意点も多そうですね。


専門家

そのとおりです。一般に混同されがちですが、「死後離縁」と俗に言われる「死後離婚」(姻族関係終了届)は全く別の制度なので特に注意が必要です。
亡くなった配偶者の親族との関係を断つ姻族関係終了届(いわゆる死後離婚)は、市区町村に届け出れば完了する届出上の手続きであり、遺族年金などの受給資格にも影響を与えません。
配偶者であったという事実は消えないため、配偶者は届出後も遺族年金を受け取り続けることができます。

これに対して死後離縁では、養親子という法律上の親族関係そのものを消滅させてしまうため、離縁が成立した時点で遺族年金の受給権を失ってしまう点に要注意です。実の親子でない養子だからこその差異ですね。
例えば、会社員だった養親が亡くなって養子が遺族厚生年金を受給していた場合、死後離縁するとその養子はもはや法律上「子」ではなくなるので、以後年金が支給されなくなります。この年金受給権の喪失は死後離縁の大きなデメリットであり、本人にとって重大な経済的損失となり得ます。
制度を誤って理解していると取り返しのつかない結果になるので、「死後離婚」とは全く異なる手続きであることを覚えておいてください

最後になりますが、死後認知と死後離縁はいずれも難しく煩雑な手続きです。感情的な問題だけでなく、民法・家事事件手続法・相続税法・年金制度など様々な法律分野にまたがって複雑に絡み合うため、専門知識が欠かせません。もしこれらの手続きをお考えの場合は、ぜひ早めに弁護士や税理士、司法書士、社会保険労務士など専門家へ相談してください。それぞれの状況に応じた最適なアドバイスを受けることで、思わぬ法的・経済的リスクを避け、最善の解決策を選択できるはずです。大切な権利を守るためにも、慎重かつ的確に進めるようにしましょう。もし手続きに踏み切る際には、信頼できる専門家のサポートを得て安心して臨んでください。

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