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暦年課税と相続時精算課税を使いこなす

2024.04.2| 事業承継

事業の舵を次世代に渡す際、現経営者が直面するのは、後継者への自社株式無償譲渡という重要な一歩です。
これには、贈与税の影が落ちますが、「暦年課税」と「相続時精算課税」のふたつの道があり、選択によって未来の財務が大きく変わります。
ここでは、両者の違いと、賢明な事業承継に向けた道筋を明らかにします。

暦年課税:令和6年分の贈与から相続開始前7年分の贈与が相続税の課税対象に

「暦年課税」は、年の始めから終わりまでの間に受けた贈与全てを合算し、その総額から110万円を引いた額に税率を適用する方式です。
この計算式が示す通り、年間110万円の非課税枠を巧みに利用することで、贈与税の負担を減らすことが可能です。

贈与財産額 – 110万円 × 税率 – 控除額

この道を選ぶことは、長い川の旅に小石を一つずつ投げ入れるようなもの。
時間をかけてゆっくりと、しかし確実に、財産を移転していきます。
特に、直系尊属からの贈与には特例があり、税率が優遇されるため、戦略的な計画が必要です。

※特例贈与の場合は、一般贈与に比べて税率等が低くなっています。特例贈与の税率や控除額は表のとおりです。

相続時精算課税:相続時精算課税は2,500万円まで非課税超える部分は定率20%

一方、「相続時精算課税」は、贈与された財産を相続時にまとめて精算する方法です。
この選択肢は、大きな財産を一度に移転する際に、税負担の軽減を目指す場合に適しています。
ここでの計画性が、事業と家族の未来を照らす灯台となり得ます。

税の選択は事業承継の羅針盤

事業承継において、暦年課税と相続時精算課税のどちらを選ぶかは、航海の舵取りに似ています。
どちらの道も、事業の継続と発展に向けて、賢明に選ばれたパスです。
適切な選択と計画によって、贈与税の波を乗り越え、事業の未来へと繋がる橋を建設することができます。

事業承継と税の計画においては、専門家との協議を通じて、自社と家族の未来に最適な選択を見極めることが肝心です。
こうして、事業承継はただの過程ではなく、次世代への希望を紡ぐ大切な一歩となるのです。

相続税計画の新時代:令和6年からの重要変更点

令和6年を境に、相続税の計算における贈与の取り扱いが大きく変わります。
これまでの3年ルールが7年に延長され、相続開始前の7年間に受けた贈与が相続税の課税対象になるのです。
この変更は、将来の相続税負担を予測し、計画するうえで重要なポイントとなります。

贈与と相続税の新ルール

過去の贈与の扱い 令和5年までは、贈与者の死亡により相続が開始された場合、その日から遡って3年以内の贈与が相続税の対象となっていました。しかし、令和6年以降は、この期間が7年に延長され、相続税計算の際により長い期間の贈与が考慮されるようになります。
相続時精算課税の条件変更 60歳以上の親族から18歳以上の子孫への贈与に適用される相続時精算課税では、2,500万円までが非課税枠とされ、超過分には一律20%の税率が適用されます。また、贈与者の死後、相続時にこれまでの贈与額が加算され、相続税の計算が行われる点に変更はありませんが、毎年の110万円の基礎控除が新たに設けられました。

この制度の変更は、事業承継や財産管理の戦略に大きな影響を及ぼします。贈与と相続を見据えた計画を立てる際には、「暦年課税」と「相続時精算課税」のどちらを選択するかが、より一層重要な意味を持ちます。選択後の制度変更の不可逆性を踏まえ、将来を見据えた慎重な検討が求められます。

令和6年以降の新たな制度下で、賢明な贈与戦略は、相続税負担の軽減という形で、将来への大きな恩恵をもたらします。
事前の準備と適切な選択が、財産の賢明な管理と事業の円滑な承継を実現する鍵です。

事業承継戦略:賢い株式譲渡のための4つのアプローチ

後継者への自社株式譲渡に際して、その評価額に応じた戦略的な選択が必要になります。以下は、異なるシナリオにおける賢明な選択肢を提案します。

1.低評価額株式の段階的譲渡

自社株式が比較的低評価の場合、暦年課税を用いた段階的な譲渡が有効です。
例えば、総額5000万円の株式を後継者に毎年500万円ずつ贈与する場合、年間約48.5万円の贈与税で済みます。

2.高額かつ価値上昇中の株式対策

会社の株価が好調で価値が上昇している場合、早期に手を打つことが望ましいです。
相続時精算課税を選択し、株価が高騰する前に贈与することで、将来の税負担を軽減できます。

3.非上場株式の納税猶予制度活用

相続時精算課税の下での贈与では、特例承継計画の提出を通じて納税猶予制度の適用を目指すべきです。これにより、不測の事態に備えつつ、税負担を先延ばしにできます。予測可能な未来は計画から始まります。

4.評価引下げ対策

贈与に先駆けて行う自社株式の評価引下げ対策は、贈与税の負担を最小限に抑えるために重要です。ここでの準備が、スムーズな事業承継を実現する基盤となります。

事業承継は、過去から未来への橋渡しであり、慎重かつ戦略的なアプローチがその成功を左右します。
適切なタイミングと方法の選択により、事業の継続性を保ち、後継者に対する理想的なスタートを提供できます。

【業務のDXに会社全体で取り組み、スムーズに事業を承継】

野菜・花の種苗専門店 株式会社山梨興農
取締役会長 芦沢俊行氏
代表取締役 芦沢昇平氏

現代表取締役の昇平氏は、新卒時に東京のIT関連企業に入社。当時は祖父の代からの家業を継ぐ意思はなかったという。就職から数年経った2014年の2月、山梨での110cm超の積雪と父・俊行氏が脳出血で倒れたという知らせを立て続けに聞いて駆けつけ、大雪で潰れたビニールハウスと、業務がストップして困り果てる従業員の姿を目の当たりに。「『今の会社を辞めて山梨に戻ろう」と決意を固めた出来事だった」と昇平氏は話す。その後、昇平氏は入社の意思を伝えるが、俊行氏は自身の代で廃業する意向を常々持っていたため昇平氏の入社に反対。昇平氏が繰り返し説得を続け、その強い意気込みを知った俊行氏は入社を承諾したという。昇平氏は家族とともに山梨に移住し株式会社山梨興農に入社後、俊行氏を支えるべく共同代表者となり、俊行氏が一人で担っていた手書きでの伝票作成や商品管理を見直し、システムによる管理への切替えを行った。全戸沢昇平氏芦沢俊行氏商品を再整理するほか、メーカーの技術者から知識を吸収し研鑽を積んだという。
さらに、2つあった事業所を1つにまとめ、事業のすべてを俊行氏から承継。2023年1月、42歳で代表取締役に就任した。昇平氏は俊行氏について、「当初は会社を畳もうと考えていた父と言い合いになることもあったが、入社後は経理の資料など触ることを自由にさせてくれた」と話す。株式の譲渡はこれからであるが、顧問税理士と株式の評価方法や特例の活用についてよりよい方法を考えていきたいとのことであった。現在は生産者との対話を増やしニーズへの対応に力を入れているほか、地域の方々に積極的に利用してもらえる“店らしさ”づくりにも取り組んでいるという昇平氏。「将来的にはメーカーや生産者らと協力して山梨を代表する新ブランドの野菜を作りたい」と、熱い思いを語った。

0120-033-721
(受付時間9:00~17:30)

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