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HOME相続ガイド > 【相続前Step.2】財産の分け方を決める

相続ガイド

Step2.財産の分け方を決める

財産と推定相続人が把握できたら、次は具体的に誰が・どれくらい相続するかを決めていきます。相続発生後の視点でみた時、ご遺族が財産の分け方を決める方法は主に次の3つです。

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遺言書に指定された方法で分ける

遺言書がある場合は、遺言書で指定された方法で分割します。

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遺産分割協議で決める

遺言書がない場合は、法定相続人全員で話し合い(遺産分割協議)をして分割します。
もし遺言書がある場合でも法定相続人、受遺者、遺言執行者全員の承諾があれば、遺産分割協議で分割することができます。

※受遺者とは、遺言により財産を受け取る人(相続人以外)のこと。
※遺言執行者とは、遺言等により指定された、遺言の内容を実行する人のこと。

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遺産分割調停や審判により決める

遺言書がなく、さらに遺産分割協議できない場合や話がまとまらなかった場合は、法定相続分に従って相続するか、家庭裁判所に申し立てをして分割することになります。

つまり、生前にできることは、財産の分け方を決めて、遺言で指定しておき、ご遺族が円滑に分割できるように準備しておくことです。

ご家族の相続対策を一緒に検討される相続人の方は、相続放棄についても知っておくと良いでしょう。
相続では、プラスの財産だけではなく、マイナスの財産もあれば、それも引き継ぐことになります。場合によってはマイナスの財産の方が多いこともありますが、そういった場合に、相続人は自らの意思で相続放棄をすることができます。
相続放棄をする場合、原則として相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に手続きを行う必要があります。ただし、特別な事情がある場合は3ヶ月経過後に放棄できるケースもあります。例えば相続を知った日から3ヶ月経過後に、初めて被相続人に借金があったと知ったような事情がある場合です。相続放棄は一度行うと撤回できませんので、生前に財産など全て把握できた段階で、早いうちから慎重に考えておけると良いでしょう。

 

具体的な4種類の分割方法

現物分割

財産を現物のままの状態として、取得者を決める方法
例)自宅を配偶者に、賃貸不動産を長男に相続させる

換価分割

財産を売却して、売却代金を分割する方法
例) 土地を売却して現金化し、現金を相続人で分ける

代償分割

相続人のうち一人または数人が財産を取得し、他の相続人に代償金を与える方法

共有分割

個々の財産を相続人間で共有する方法

遺された財産が現金や預金であれば、現物分割で平等に法定相続分の割合で分けることができます。一方、財産が分けにくく、相続人全員が納得するような分割が難しい場合は換価分割や代償分割という方法をとることがあります。
例えば土地建物やマンションのような不動産については、法定相続分の割合で共有にしてしまうと、後々売却するかどうかで仲違いしてしまう場合があります。
したがって不動産を法定相続分の割合で共有分割するのは、あまりお勧めできる方法ではありません。このような場合に、1人の相続人にその不動産を相続させる代わりに、他の相続人に対して代償金を支払うという方法がよく行われます。それが代償分割です。

―代償分割を行う場合は、贈与税に注意

遺産分割協議書の中で代償分割についての記載をしないと、代償金の支払いが単なる贈与であるとされ、贈与税を課税されることがあります。
例えば、相続人Aが代償金として相続人Bに1,000万円を渡したとして、それが遺産分割協議書に記載されていなければ、どのような趣旨で1,000万円を渡したのかが客観的にわかりません。そこで、この趣旨を単なる贈与であると税務署に認定されてしまえば、贈与税が課税されてしまうということになります。代償金の支払いに対して贈与税が課税されるのを避けるためには、遺産分割協議書に「代償として」金員を支払うことを明確にする必要があります。

 

財産の分割で注意すべきこと

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遺留分を無視した分割

財産の分割では、遺留分に注意が必要です。
遺留分とは、ある一定の法定相続人が最低限の財産を取得できる権利のことです。
例えば、特定の相続人や第三者に全財産を譲ると遺言書に書かれていた場合、他の法定相続人が本来相続できる財産を全く受け取れなくなってしまいます。
ですから民法では、ご遺族の法定相続人としての権利や利益を守るために、ご遺族が相続できる最低限度の相続分を遺留分として定めています。
遺留分を侵害された相続人は、裁判所に遺留分侵害額請求の申し立てをすることで、遺留分の財産を取得できます。
つまり、遺留分に配慮した遺言書を作成しておかないと、残された人たちが遺留分侵害により争ってしまう可能性があります。
ですから遺留分に十分配慮した財産分割を考える必要があります。

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相続人の中に特別受益者がいる場合

亡くなったひとから遺贈を受けたり、生前に特別な贈与を受けたりした場合など、特別な利益を受けた相続人を「特別受益者」といいます。
もし相続人の中に特別受益者がいて、遺贈や贈与で受けた特別な利益(特別受益)を考えずに遺産を分割してしまうと、他の相続人との間に不公正が生じます。
民法では、贈与されなかった相続人との不公平を考えて、特別受益分を相続財産の前渡しとみなして、全相続財産の価額にプラスしたうえで特別受益者の相続分から差し引きます。
これを「特別受益の持ち戻し」といいます。

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相続人の中に特別寄与者がいる場合

亡くなった人の事業を助ける、あるいは療養看護に努めるなどして、亡くなった人の財産の維持や形成に貢献した人を「特別寄与者」といいます。
特別寄与者になれる人は、故人と親族関係がある者に限られます。通常の世話や介護は寄与とは認められません。
相続人の中に特別寄与者がいる場合、相続人間の公平を図るために、特別寄与者は法定相続分とは別枠で、その貢献に見合った財産の分配を請求できます。
寄与分を認めるか認めないか、またどの程度認めるかは相続人間の協議で決められます。
寄与分が認められるためには、特別な貢献によって亡くなった人の財産の維持や形成が図られたと客観的に判断されたときなので、寄与分を主張する場合は客観的な資料や証拠を示す必要があります。 なかなか話がまとまらない場合は、寄与した人が家庭裁判所に申し立てをして他の相続人に対して寄与分の支払いを請求します。
家庭裁判所は、寄与の時期や方法、財産の額などを考慮して、寄与分の額を決定します。
寄与分が認められた場合は、相続財産から寄与分を差引き、残りの分を相続財産として分割します。
遺言書に特定の相続人の寄与分について書いておいたとしても、法的に効力はありません。しかし、遺産分割協議において相続人が参考にすることもありますから、詳細に記載してもいいでしょう。

 

特別受益の持ち戻しの対象となる贈与

結婚資金、養子縁組のための費用、独立開業資金などの援助、多大な学費、住宅資金の援助など、特別受益の持ち戻しをしなくていいケースもあります。
それは、特別受益者以外の相続人全員が、遺産分割協議で「特別受益分は考慮しない」と認めた場合です。また、遺言書に「特別受益の持ち戻しを免除する」と書いておくことでも持ち戻しが免除されます。

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